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東京高等裁判所 平成元年(行コ)85号 判決 1989年12月21日

東京都台東区浅草二丁目三四番一〇号

控訴人

株式会社三社会館

右代表者代表取締役

木村昭光

右訴訟代理人弁護士

小林辰重

吉田康

石川善一

東京都台東区蔵前二丁目八番一二号

被控訴人

浅草税務署長

安藤元久

右指定代理人

合田かつ子

石黒邦夫

塚本博之

干場浩平

右当事者間の法人税更正処分等取消請求控訴事件について

当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

〔申立て〕

<控訴人>

「原判決を取り消す。被控訴人が昭和六二年五月一八日付けでした、控訴人の昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。被控訴人が昭和六一年一二月二六日付けでした控訴人の右事業年度の法人税の更正(但し、昭和六二年一二月二六日付けの減額再更正により減額された後のもの)のうち、所得金額五二九万七二二三円、納付すべき税額六六五万九六〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(但し、同日付けの減額再更正に伴う過少申告加算税賦課決定により減額された後のもの)を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求める。

<被控訴人>

主文第一項は同旨の判決を求める。

〔主張及び証拠関係〕

次のとおり訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

1 原判決三枚目裏八行目の「物件目録一記載」を「物件目録記載一」と、一〇行目の「同目録二記載」を「同目録記載二」と、同四枚目裏九行目の「買替資産」を「買換資産」とそれぞれ改め、同九枚目表三行目の「本件申告」の次の「は」を削る。

2 同一八枚目表六行目の「(四)は争う」を「(四)について、被控訴人がそのように税額を算定したことは認める」と、同二一枚目裏一〇行目の「敷地権の対象となる一棟の建物」を「特定の一棟の建物のための敷地権である旨」とそれぞれ改める。

理由

一  当裁判所も、被控訴人の本訴請求は理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり訂正するほか、原判決がその理由として説示するところと同一であるから、これを引用する。

1  原判決二六枚目表九行目の「更生」を「更正」と、同裏二行目の「請求原因1、2の各(一)」を「請求原因1の(一)、(二)、同2の(一)」と、同二七枚目表五行目の「するものも」を「する点も」と、同二八枚目表八行目の「としている」を「との理由に基づくものである」と、同裏一行目の「更生」を「更正」と、同二九枚目裏末行の「過大である」を「過大となるべき」とそれぞれ改める。

2  同三〇枚目表一行目の「税額が」から三行目の「申告に係る」までを「税額の算定につきこれを過大ならしめる要素があった場合に、更正がそのような要素を含む申告に係る」と、同裏三行目の「主張するが」から九行目末尾までを「主張する。仮に右のような計算書類の承認決議が存在し、それが税法上本件事業年度の決算として有効なものであるとすれば、控訴人の主張するとおり、それによる納付すべき税額が本件申告によるものと同額であり、これについて増額更正の余地がない場合には、先に述べたところにより前記更正の要件<2>が充足さることになるが、措置法六五条の八第一項の規定に基づき特別勘定経理による損金算入を行うかどうかは納税者の自由な選択に委ねられており、かつ、確定した決算において右経理が行われた場合に限り、右処理による損金算入が認められているのであるから、専ら確定した決算の違法な点を是正することのみを内容とする決算の修正であればともかく(本件の場合、本件土地持分を措置法六五条の七第一項表一五号下欄イの減価償却資産に該当するとした点の決算の違法を修正しても、そのこと自体によって税額は増大することはあっても減少することはない。)更に右特別勘定経理による処理を行って税額の減少を図るために、いったん承認した決算を確定申告後に修正し、これを更正の請求の理由とすることはできないものといわなければならない。」と、同三一枚目表三行目の「甲第一号証、乙第二、第三号証」を「乙第三号証」とそれぞれ改め、五行目の「尋問」の次に「の結果」を加え、同三三枚目表二行目の各「経費」を「経費額」と、八行目の「ため」を「ための」とそれぞれ改め、三行目の「の全部」を削り、同三四枚目表末行の「に所属する」を「の指導を担当している」と改め、同裏五行目の「尋問」の次に「の結果」を加え、同三六枚目表一行目の「これについて」を「これを」と、同裏六行目の「行為」から七行目の「異なり」までを「行為であって、客観的事実を認定する以前にされるものであるから」と、同三七枚目表四行目の「について」を「の有無」とそれぞれ改め、同行の「当然」の前に「提要が」を、九行目の「土地持分」の前に「本件」をそれぞれ加え、同三八行目裏一〇行目の「本件建物」から末行の「称して」までを「本件土地持分を「土地持分」と称して本件建物の敷地のうちの具体的な一部分とみて」と、同三九枚目表八行目の「指している」を「指し、控訴人の主張するように敷地の具体的な一部分を指すものではない」とそれぞれ改め、三行目の「2の(一)」の次に「掲記」を、同裏二行目の「当たる」の前に「それぞれ」をそれぞれ加え、同四〇枚目表一行目の「である」を「ではない」と、同四一枚目表一〇行目の「到底できず」から同裏二行目の「なり得ない」までを「到底できない」とそれぞれ改める。

3  同四二枚目裏一行目の次に行を改めて「課税処分は、本質的には国が国民に対して行う納税義務の賦課処分であり、その権限は終局的には国に存するところ、納税制度の民主的運営の見地から、一次的には納税者の申告にまつのを原則としているものである。したがって、形式的に申告がされても、その瑕疵が重大明白な場合には申告が不存在とされることもありうるが、瑕疵の程度がこれに至らない以上は、右申告に基づいて国の課税処分が発動されることを妨げるものではなく、本件申告についての控訴人の主張する瑕疵が右の程度に至っているものということはできない。」を二行目の「弁論の全趣旨」の前に「のみならず、」をそれぞれ加え、四行目の「認められる。そうすると」を「認められるところ」と、一〇行目の「しかし」を「ところで、過少申告における更正も無申告における決定も、国が独自の事実認定は法律の適用とにより行う課税処分であるから、内容的に径庭を生ずることはありえない。その上、両処分に付随して納税者に生ずる不利益の内容・程度の点からみても」と、同四三枚目表九行目の「原告の」から一〇行目の「であるから」までを「いずれの点からしても控訴人の法律上の利益に関係する違法事由とはいえないから」とそれぞれ改める。

4  同四四枚目表末行の「ところ、」から同裏三行目の「となる」までを削り、五行目の冒頭から同四五枚目表二行目末尾までを「前記のとおり本件事業年度の所得金額は一億一九八八万四三七六円、課税土地譲渡利益金額は三七五八万八〇〇〇円、課税留保金額は七九三万円であり、また、成立に争いのない甲第六号証によれば右事業年度の控除所得税額は三六一万一三九八円であることが、弁論の全趣旨によれば控訴人は右事業年度終了時において資本金一億円以下の普通法人であることがそれぞれ認められるところ、以上に基づいて計算すると、右事業年度の法人税額は五五六二万四九〇〇円となるから、」と改め、一〇行目の「右過少申告に対する」から末行の末尾までを削る。

二  右によれば、本訴請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 丹野達 裁判官 加茂紀久男 裁判官 河合治夫)

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